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人間工学応用事例(GPDB)・GPDB表彰

ED-154 アクティブムーブチェア「Weltz-self(ウェルツ-セルフ)」

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概要
製品の概要

誰もがより自由に、想いのままに。「ウェルツ セルフ」は座ったままの姿勢で安心・安全にスムーズに移動できるチェア。少子高齢化の中、下肢の機能が低下した高齢者や障がい者の働く場への進出が増加し、安全かつ快適な環境整備が求められている。下肢機能が低下したワーカーは、車椅子に乗る必要はないが、通常の椅子だと移動しにくいため、仕方なく車椅子を利用していることも多い。このため、「ウェルツ セルフ」は、座ったままの姿勢で、自身の足を使って、歩くように移動できる椅子を目指した。また、オフィスの椅子ならではのクッション性や机との相性を考慮し、適正なサイズを探った。さらに、意匠面では周辺のオフィス家具との調和を目指したデザインを追求し、車椅子ではなく椅子だと認識させるデザインに仕上げた。これにより、ユーザーの働く意欲を向上させ、また、一緒に働くワーカーとの一体感を生み出すことを目指した。

人間工学的配慮視点

動作時の主動力となる大型車輪は、着座時の身体の重心付近に配置することで、旋回半径が小さく、その場での旋回性に優れている。また、脚部の開口を広くすることで、足を動かした際にフレームと干渉せず、足こぎ移動がしやすい形状を実現した。さらに、体格差に対応するため、座面の高さは3段階で調節でき、座面の奥行は通常の椅子よりも浅めにすることで、座ったまま足をスムーズに動かせるように配慮している。

開発秘話

オカムラは、国立大学法人佐賀大学、神奈川県総合リハビリテーションセンター、日進医療器株式会社と共同で、安心・安全な移動を実現する椅子の研究を行っている。オカムラの椅子づくりで培った技術と車椅子づくりのノウハウを融合させ、様々な検証やユーザー評価を繰り返して開発された。高齢者等が初めて車椅子に乗る際にはネガティブな印象を抱くことが多いため、「ウェルツ セルフ」は椅子に近いデザインでありながら、移動性にも優れたものを追求した。ターゲットは下肢機能を完全に失った人ではなく、自分の足でこぎながら移動できるユーザーとした。自分の足を使うため、車椅子には必須となるフットサポートや大型車輪、ハンドリム、さらにはブレーキが不要となり、走行性を保持しつつ中央車輪の直径を抑えることで、車椅子の印象は軽減した。また、オフィス家具のデザイン要素を付加することで、移動性に優れた椅子としての印象を強めた。


評価結果データ

1.車輪配置の検討:オフィスワーカー5人を対象に走行・旋回テストを行い、試作椅子の寸法基準点から身体重心位置までの水平距離について三次元動作分析装置を用いて算出し、試作椅子の車輪配置を設定した。
2.市販椅子との比較: 試作椅子と4本脚(非回転椅子)と5本脚(回転椅子)の市販椅子を用いて、走行テストによる課題遂行時間の計測と旋回に伴う回転中心位置の変化の比較をオフィスワーカー8名で実施した。
3.下肢機能障害者によるモニター評価:普段から車椅子、電動車椅子、ウォーカー、ロフストランド杖を使用しているものの独歩可能な男女8名(脳性麻痺5名、脳出血・白質脳症・リウマチ各1名)を対象に走行テストを行った。また、2名の職場で試作椅子を試してもらい評価を行った。

特許・意匠登録番号

意匠登録1578125、特開2018-57785

推薦者

認定人間工学専門家  浅田 晴之

お問い合わせ
企業名・担当部署名

(株)オカムラ マーケティング本部オフィス製品部

担当者名

高橋 卓也

その他連絡先

(株)オカムラ お客様相談室
0120-81-9060

掲載URL

http://www.okamura.co.jp/product/seating/weltz-self/

製品発売時期

2018/1/1

更新日

2018年12月26日



 


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