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人間工学応用事例(GPDB)・GPDB表彰

ED-162 やさしいつり手 MIKAMI×九州大学

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概要
製品の概要

電車やバスなど多くの人が利用する交通車両に設置されているつり手は、乗車中の事故やトラブルを抑えるために欠かせません。「やさしいつり手」シリーズは、握りやすさに着目した人間工学研究と車両のインテリアデザインとの調和を踏まえ創出されました。

人間工学的配慮視点

本製品の開発過程は日本人間工学誌55巻5号(2019):「人間工学的研究に基づいたつり手の開発」に掲載されています(実験の風景写真や結果も掲載しています)。
円形や楕円からなる13の握り部の断面形状に対して「使いやすさ」に関する主観調査を実施し分析した結果、長軸30mm、単軸24mmの楕円が理想的な断面形状として抽出されました。その断面は、握る向き(枕木方向/レール方向)による「使いやすさ」の変化が少ないことが判明しました。
抽出された断面形状上部の形をつり手の握り部に取り入れたところ、「使いやすさの向上」「痛みの軽減」「フィット感の増加」「手部の圧力分散」に有意に働くことが判明しました。断面形状の高さ寸法を32mmとしました。これらの成果が「やさしいつり手」シリーズに活用されています。

【KM型の紹介】
日本国内では主に三角(△)型と丸(○)型のつり手が用いられています。△型は底辺が真っ直ぐになっていますので持ちやすい、○型はリング内の空間が広く咄嗟のときにどこからでも掴みやすいという利点があります。KM型は△型と○型の両方の長所を活かしつつ、かつ握りやすさに着目した人間工学研究と車内空間の質の向上を踏まえて創出された新しいカタチのつり手です。

開発秘話

【共同開発について】本製品はトランスポーテンションデザイナー(九州大学)、認定人間工学専門家(九州大学)と企業(三上化工材株式会社)との産学共同研究によって創出されました。三者の定期的なミーティングを繰り返し、それぞれの希望を何度も摺り合わせながら、研究を進めました。乗客にとってより良いものという共通の目標があったからこそ本製品が実現できました。

【人間工学実験について】交通車両は揺れるため、それを摸擬する環境を作ることに苦戦しました。実験室での実験ではエクササイズマシンを用いて揺れを摸擬しました。最終の検証では、実際の路線バス車両を用いて行いました。条件間での揺れを統一するため、ベテランのバス運転手の方にご協力頂き、同一コース(教習所)を同速度で走行して頂きました。素晴らしい走行再現性により検証実験が成功しました。


評価結果データ

日本人間工学誌55巻5号p. 173-179 (2019) 実践報告 「人間工学的研究に基づいたつり手の開発」

特許・意匠登録番号

意匠登録第1635552号

推薦者

村木里志(認定人間工学専門家,九州大学)

お問い合わせ
企業名・担当部署名

三上化工材株式会社

掲載URL

https://mikami-kakouzai.co.jp/products/

製品発売時期

2023年6月予定

更新日

2023年02月13日



 


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