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人間工学応用事例(GPDB)・GPDB表彰

ED-161 テールゲートリフターに着脱可能な昇降板用後付け柵

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概要
製品の概要

トラック荷台後端に袈装されるテールゲートリフター(以下、TGL)は、荷台と地面の間の移動に欠かせない荷役省力装置である。しかしながらTGL使用に起因する休業4日以上の労働災害(以下、TGL起因災害)が年間600件程度発生し、その約7割が作業者や荷の転倒・転落であることが分かっています。そこで我々は国内で市販されている典型的なTGLのホームを追加加工することなく装着可能な着脱式の柵を開発しました。この柵はTGLのホーム厚さが約4cmで装着可能なこと、本体重量とトラック最大積載量により異なるホーム長や作業性を考慮し、柵のサイズは床面から柵上さんまでが90cm、床面から柵中さんまでの高さは55cm、横幅は75cmとしました。柵の防護部は28.5φの鋼製パイプからなっており1体あたりの重量は約9kg、柵としての強度も十分に有しています。また、オプションパーツとしてトラック荷台内のレールと柵を連結する脱落防止用ベルトも用意しました。TGLホームが昇降する際に外さなくて済むように、十分な強度と伸縮性を持たせました。

人間工学的配慮視点

簡便に着脱できるよう左右のパイプ直下の2ヶ所に具備したクランプのフットレバーを踏み下ろしてTGLホームに固定する方式を採用しました。ちなみにフットレバーが何らかの理由で解除される可能性を考慮し、フットレバーには手下ろし式の二重ロックも装備しました。また、フットレバー固定時のホームへの傷防止と密着度、柵に外力が加わった際の柵の脱落・ずれ防止を図るため、クランプ先端部に1mmの溝を彫り入れ、定期的に交換可能な2mm厚のドーナツ形状のゴムリングを貼付しました。

開発秘話

クランプを用いた着脱式の柵であるため、柵として十分な強度を得ようとすると重くなってしまう。この相反する課題を解決するのに苦労しました。最終プロトタイプを使った現場試用では、柵の強度を信用できずに何度もキックして試す方がいました。人が寄りかかっても十分に耐えうる強度を持たせましたが、キックは用途外の使われ方です。幸いにも少しずれただけで外れなかったこともあり、その方は不満そうでしたが十分な強度を持っていることを理解してもらえました。また、この現場試用は真夏に実施したこともあり、クランプ先端部に貼り付けたゴムリングが暑さで変形する問題に直面しましたが、この結果を受けて暑熱だけでなく寒冷にも強い硬度80のフッ素ゴムに置き換えることで解決しました。


評価結果データ

1) 大西明宏:テールゲートリフター使用に起因する労働災害の特徴,人間工学,54 巻 3号 p. 115-123

2) 大西明宏ほか:テールゲートリフターに着脱可能な昇降板用後付けタイプ柵の開発,人間工学,57 巻 Supplement 号 p. 2D1-1

特許・意匠登録番号

特許第6752458号

推薦者

神奈川大学工学部 高野倉雅人先生

お問い合わせ
企業名・担当部署名

独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 リスク管理研究グループ

担当者名

大西明宏

e-mail

aohnish@s.jniosh.johas.go.jp

その他連絡先

日本物流機器株式会社

製品発売時期

販売中

更新日

2022年12月23日



 


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