イベント案内

投稿日:2009年12月05日|投稿者:JES事務局

【開催日】:2009年12月5日~6日
【場所】:武蔵野大学
【寄稿者】:齋藤祐太さん(千葉大学大学院院生、JES広報特派員)[プロフィール]

1日目:2009年12月5日(土)

JR三鷹駅からバスに乗ること15分。武蔵野大学にやってきました。

きれいな銀杏並木や噴水のある庭を横目に進んでいき、会場となる建物で受け付けを済ませます。

会場となった武蔵野大学  会場となった武蔵野大学
[会場となった武蔵野大学]

シンポジウム

シンポジウムでの発表
[シンポジウムでの発表]

午前の部、私が参加したのは『ヒューマンエラーと医療機器デザイン』というシンポジウムです。
医療機器の操作を仕事とする技師や看護師の方々から、現場で使用される機器のデザインの違いから引き起こされるヒューマンエラーの現状についてご報告がありました。

幸い今まで病院のお世話になることがあまりなかったので、初めて見る診断や検査の機器がたくさんありました。それぞれのインタフェースを使いこなすには職人のような訓練が必要だそうです。しかし、体に叩き込んで覚えていったとしても、同じ種類の機器でもメーカーによってスイッチの配列が違っており、デザインの違いは使う方々にとって大きな問題になる、というご報告が発表の中心となりました

フロアとのディスカッションの時間には、医療機器メーカーのデザイン部の方、大学でメーカーと共同研究をされている先生、そして医療従事者の方々と、色々な立場での関わりを基に活発な意見交換がなされました。

シンポジウムでの活発な意見交換  シンポジウムでの活発な意見交換
[シンポジウムでの活発な意見交換]

ディスカッションの中で、このような問題点を解決していくための障壁として各組織の関係や構造にも課題がある点、機器を導入する立場の人と、実際に使う立場の人の意見とが離れてしまっているという難しさがある点などが議論されました。しかし、このような学会の場で問題提起を続けていくことで、作る人、使う人、そしてマネジメントをする人、もちろん患者さんも含めたそれぞれの意見を吸い出すための足掛かりになるに違いありません。これからの人間工学の発展へ向けた貴重なシンポジウムに参加することができた気がします。

機材展示

展示室の様子

人間工学会では実際に製品やサービスを評価するための実験に用いる機材が展示・紹介されています。今回はアイマークレコーダーという、人がどこを見ているかなど視線を測定し解析するための機材の展示がありました。

このような展示室にはパネルと実機がおいてあり、事例がたくさん紹介してあるので、実験のアイディアやヒントをこういった場で得ることもあります。また会社の担当の方もいらっしゃって細かい説明を聞けるので、学生は使い方に困った時や新しい実験方法の相談をするのもアリかもしれません。

展示室の様子
[展示室の様子]

私は卒業研究で使わせていただいたこともありなじみ深い実験機材でしたが、我が研究室にあるものよりも新しい製品が紹介されていました。このような実験機材の進歩のおかげで私たちも新しい研究や実験に取り組むことができ、それらを使って少しずつヒトにやさしいモノづくりに近づくことができるのだと改めて実感しました。最新の機材から研究の動向まで、情報収集の場として機材展示の部屋は要チェックです。


学生支援座談会

また学生にとって有益なのが学生支援座談会のコーナーです。「『人間工学』を活かす就職」と題して、人間工学を学んだOB・OGの先輩方と就職を控えた学生との交流ができる場を企画してくださっています。私も昨年の座談会に参加させていただき、自動車会社、医療機器、情報関係など、様々な分野で人間工学を活かして仕事をされている方のお話を聞くことができました。出身の研究室の方ではない人にもお話が聞けるのは本当に貴重な機会だと思います。学生の方は有効に活用していきましょう。このような場でのつながりは後々絶対に活きるはずです。

卒業研究発表会

一般講演と並行して、卒業研究発表会が2会場にて行われました。今回私は参加できなかったのですが、全36件の発表があったようで、一般講演に負けず劣らずこちらも充実した演題ばかりでした。フロアからの質問やコメントをはじめ、他の学生の研究発表を見ること自体が刺激になったのではないでしょうか。

一般講演

一般講演でのひとコマ

OB・OG座談会が行われている間、実は私は発表を控えていたので別の会場で待機していました。私が発表したセッションでは、ちょっと質問が少なかったのですが、やはりそこは学会、鋭い質問や今後研究の考察を進めていくにあたり参考になるコメントを頂くことができました。発表を終えると、緊張感のほぐれと、反省点を得ることができたちょっとした充実感からか、すぐ後に予定されている懇親会が楽しみになってきました。他の会場での一般講演も学生や先生、企業の方など多くの発表演題があり、「人間工学」という共通した分野ですが、その研究内容や専門分野は本当に多岐にわたり、それぞれのお立場から充実した発表と討議が行われていました。


一般講演  一般講演
[一般講演でのひとコマ]

懇親会

懇親会

学会の大きな楽しみの一つが1日目の夜に行われた懇親会です。外の冷たい雨と打って変わって会場内はご覧のとおり盛況です。

懇親会では、発表でお世話になった座長の先生とお話ししたり、他大学の学生と仲良くなったりと、出会いがたくさんあります。研究の内容についての議論は勿論、企業の方や他の大学の先生など普段はお会いすることのできない方々ともお話することができ、皆さんおいしい料理とお酒を片手に皆さん思い思いの時間を過ごされていったところで、一日目が終了していきました。

懇親会でのひとコマ  懇親会でのひとコマ
[懇親会でのひとコマ]


2日目:2009年12月6日(日)

昨晩の雨は嘘だったかのように気持ちのいい朝となりました。自分の発表も終わったので銀杏並木を通る足取りも今日は軽やかです。

シンポジウム

2日目は「ビジョン提案型デザイン手法の展開と実践」というシンポジウムに参加しました。人間工学会の中のアーゴデザイン部会に所属される先生方から、ペルソナや構造化シナリオを用いたプロダクトやサービスのデザイン手法の流れと、その具体的な事例について発表がありました。

一般講演でのひとコマ

まず情報収集やユーザとビジネスサイドからの要求・方針を分析することでプロジェクトの目標を設定し、構造化シナリオと呼ばれる手法を用いて、その目標を基にペルソナというユーザの人物像やそのユーザのシナリオを段階的に作成します。そのシナリオを視覚化し評価と検証を繰り返すことで、ユーザの満足度の高いシステムやサービスを構築していくという流れの手法だそうです。

この手法が少しずつ変化しながらも確立されていくことで、モノ作りを終えてからの評価ではなくて、モノ作りの上流過程で人間中心設計の考え方を取り入れることができるはずです。色々な企画開発の実践現場で取り入れられていくことを期待します。

午後からは、一般講演が2会場で行われ、全プログラムが無事終了となりました。発表者の皆さん、参加者の皆さん、そして大会運営にあたってくださった皆さん2日間本当に御苦労さまでした。

おわりに

今回人間工学会関東支部大会の報告員を務めさせていただき、今まで以上に意欲的に学会へ臨むことができました。学びの場として学会は本当に多くの機会を与えてくれる場であると改めて実感しました。この報告記をきかっけに、少しでも多くの方に人間工学会関東支部大会の様子をご理解いただけたら幸いです。


 


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