理事長(会長)ごあいさつ
理事長(会長)就任のごあいさつ
榎原 毅
2026年7月
第10期(2026年~2028年)理事長を務める榎原 毅です.第10期では、第8-9期理事会で掲げた「人間工学のプレゼンス向上」を継承するとともに、人間工学専門家認定機構(BCPE-J)との連携もさらに強化し、AI時代の多様化する・高度化する労働・生活様式において、新たな人間工学の役割、効用を再発見して社会に発信していきたいと思います。
産業革命の歴史を紐解けば、破壊的技術(disruptive technologies) が社会を一変させてきました。機械化による大量生産方式の確立は労働や生活スタイルを変えるのみならず、集約型の工場労働に伴う居住地の集約・都市化やそれに伴う新たな社会制度(労働保護・公衆衛生・社会保険など)の確立が進みました。その一方で、構造的変化は新たな社会課題―労働の非人間化や長時間労働・過重労働、交通渋滞・工場による大気汚染や産業事故・交通事故など―を生んできました。そのような、産業革命の「光」と「影」の両義性課題の解決に、人間工学は貢献してきました。
近年、生成AI/AI技術による飛躍的な技術革新により、まさに21世紀の今は第四次産業革命の黎明期にあるといわれます。サイバー空間と物理空間の融合、フィジカルAI、ビッグデータ、自律的な生産システム・スマートファクトリー、人間の意思決定を補完する高度アルゴリズムといった、人の知能を強化するAI技術の急速な進展は、私たちの労働や生活に新たな恩恵をもたらす一方で、知的労働の自動化、プラットフォームワーカー(ギグワーク)の拡大といった労働の再定義を引き起こし、作業の高密度化・認知負荷の増大やスキルの劣化、監視型社会に対する心理不安など、あらたな課題が顕在化しつつあります。
このような新たな時代においても、「人とシステムの適切な機能配分」を扱う人間工学の哲学はかわりません。「AI時代の多様化する社会課題に対し、人間工学で持続可能な人と社会の調和をはかる」ことをパーパスとして第10期は活動を進めます。
今の時代に求められる、新たな人間工学の役割、効用を再発見して、「人・社会」と新たな「技術・AI」の持続可能な調和を図る人間工学の重要性を社会に発信してまいります。