大会長挨拶

日本人間工学会第63回大会が,「人と技術の関係を再考する」をテーマとして,広島県尾道市の尾道市役所本庁舎,市民会館,しまなみ交流館で開催されます。中国・四国支部が担当する全国大会としては,広島市,広島県賀茂郡,岡山市に次ぐ,4か所目(通算5回目)の開催地になります。

特別講演として,IEA会長,アメリカ人間工学会会長を歴任された,私の長年の友人であるUniversity of Central Floridaのカルボースキー教授による「Metaergonomics: Artificial Intelligence, Metahuman-Centered Design, and Technological Life」(仮題)と題した貴重な講演をいただきます。カルボースキー教授による講演は,大会テーマである「人と技術の関係を再考する」にふさわしい内容となっております。昨今,ディープラーニングによる(準)自動運転技術,予防安全技術,天候予測技術などが加速的に発展し,ある側面では我々人間の能力をはるかに凌ぐ優秀なツールが世の中に顕在するようになってきました。このままでは,人工知能による 種々の技術的産物が人間を乗っ取るようになると予言する歴史学者も現れ,彼の著書は世界的なベストセラー(Harrari, Y.N.:Homo Deus―Brief History of Tomorrow―,Vintage, 2017)にもなりました。このような世の中だからこそ,人間工学の役割は大きく,人間と最先端の技術との関係およびそれぞれの役割をしっかりと考察し,人間にとって真に役に立つ技術の在り方を究明していく必要があるのでなはないかと考えます。”Fitting the Advanced Technology to the Man”の考え方がますます重要になるのではないでしょうか。  カルボースキー教授にもこのような視点に立って,人間工学とAIの関係はいかにあるべきかを講演いただけると思います。また,一般講演,シンポジウム等におきましても,会員,参加者皆様の活発な議論の元,人間工学と最先端技術との関係を見直すことができるような貴重な交流・情報交換の機会になることを願ってやみません。

開催地の尾道市は,しまなみ海道の起点であり,サイクリストの世界的な聖地ともなっており,観光スポットとして注目を集めています。また,瀬戸内特有の気候で育まれたかんきつ類,魚介類が豊富で,尾道ラーメンなどおいしいものも沢山ございますので,皆様のご参加を心待ちにしております。

日本人間工学会第63回大会
大会長 村田厚生