日本人間工学会 第60回大会<
メインテーマ:社会を支える人間工学

大会長挨拶

大会長 青木和夫

 日本人間工学会の第1回大会は1963年に東京で開催されましたが、この時は人間工学研究会という名称でした。その翌年の1964年には東京でオリンピックが開催され、日本人間工学会も同じ年に設立されました。奇しくも第60回大会は、再び東京でオリンピックが開かれる2020年の前年に東京で開催されることとなり、たいへんうれしいめぐりあわせであると思っております。
 1964年のオリンピック開催では数多くの競技施設が建設されると同時に、交通インフラに関しても大きな変化がありました。その一つが東海道新幹線の開通で、これまでに経験したことのない速度で走行する新幹線の安全性や快適性、運行管理システム、運転手の疲労などについて人間工学が大きな貢献をしたことが、学会誌創刊号に特集記事として掲載されています。
 2020年のオリンピックの準備では、競技施設や交通インフラの関する対策も重要ですが、人間工学が最も貢献するのはパラリンピックの準備と運営に関することではないかと思います。障害のある選手が世界中から集まり、競技を行うだけではなく、東京の姿を見たり楽しんだりしてもらうためには、人間工学に基づいた設備や支援システムが不可欠です。日本が障害のある人々にとって最も住みやすい国になるように、人間工学が貢献してゆくことができるのではないでしょうか。
 今大会では、このように社会を支える人間工学をテーマにいたしました。日頃の研究成果や実践事例を積極的にご発表いただきたいと思います。皆様のご参加と熱い議論を期待いたしております。

第60回大会長 青木和夫