人間工学測定技法講座 第11回レポート

 

第11回:「人間工学研究で用いる生体指標測定:眼球運動測定」

■開催日時  2017310日(金) 16:3019:00
■開催場所  オフィスパーク名駅プレミアホール会議室
■参加者   9名

講師プロフィール

斎藤 真
三重県立看護大学 教授
博士(医学)、博士(工学)、三重大学大学院工学研究科博士後期課程修了。専門は人間工学、労働科学、看護人間工学。VDT作業の人間工学的研究、看護における人間工学に従事。日本人間工学会理事・東海支部支部長

 

概要

前回の講座が好評につき(第3回、2016/3/4開催)、眼球運動測定の講座を再度開講しました!
講師は東海支部長の斎藤真先生(三重県立看護大学)です。

人間工学研究においては、ユーザインタフェースデザインや各種教育訓練効果の測定など、視覚情報処理の特徴を理解し、もの作りに応用する機会が多くあります。眼球運動の測定によって何がわかるのか、その基本を分かりやすく解説頂きました。

講義前半は、眼球の生理学的・解剖学的な基礎的な内容を解説いただきました。眼球は脳の一部が突出してできている器官であり、解剖生理学的な特徴としては、6本の外眼筋は筋繊維が細かいこと、血管が多いこと、神経一本が支配している筋繊維の数は少ないことなど、微細な動きが可能で筋疲労に強いことを解説頂きました。また、視覚には、1)眼球運動、2)瞳孔運動、3)水晶体の調節作用の3つの機能について、それぞれ理解しておくべき基礎事項の解説を頂きました。眼球運動の計測方法としては、角膜反射法、角膜強膜反射法、EOG-DC(皿電極を用いた電位差による測定)、サーチコイル法(コンタクトレンズ方式)など多様なものがあり、空間分解能、時間分解能、被験者への負担などそれぞれに一長一短があることを紹介頂きました。

次に、眼球運動測定の基本である注視点の解析について、具体的な解析手法の事例を紹介いただき、更に斎藤先生がこれまでに行ってきた人間工学研究の事例を紹介頂きました。講義前半の最後には、参加者の皆様からも熱心な質問を多くいただき、活発な意見交換がされました。

講義後半は、前回の講座と同様に、株式会社ナックイメージテクノロジーのご担当者による最新の眼球運動測定機器のご紹介および実演を行いました。モバイル型のアイマークレコーダーの最新機種EMR-9の実演の他、キャリブレーションフリーの視線計測装置EIVIR ACTUSの実演をしていただきました。

当日参加者の方にもデモ機を体験していただき、その後、講師の斉藤先生やナックイメージテクノロジー社のご担当者様と適宜個別相談・意見交換を行うなど、和やかな雰囲気で体験型講義を終えました。

受講者アンケート結果

受講生の満足度および理解度とも、とても高評価を頂きました。

本日の講座に関するご質問・ご意見など(一部抜粋)

・EMRを用いた実験に適した条件等に関する知見をお伺いできれば良かったと思う。眼球運動の基礎を事例まで含めて講義くださったので、とても有意義であった。
・眼球運動に関して、基礎的な所から分かりやすく教えていただいた。研究事例を数多くご紹介されましたが、交通関係(自動車、鉄道など)に関して何か事例があれば、次回またお願いしたい。
・基礎的な内容から研究事例まで、非常に分かりやすく大変勉強になりました。今後の研究に活かしていきたいと考えています。
・概論から具体的なデータ、分析方法を示していただいてとても良く分かりました。
・この分野の第一人者の斎藤真先生のご講義、ありがとうございました。大変興味深く、また自分に不足している知識と気になっている情報を得ることができました。
・元々、眼球運動の知識がなく、今回の講座を通じて眼球運動、特にマイクロサッケードの計測方法について学ぶ事を目的としていたため、満足する講座となりました(また、角膜反射法のみを用いており、他の計測法については知らなかった為)。
<今後の講座企画に対する要望など>
・(講義の最後にご案内いただいた)次回の講座について、”圧”や”ここち”のテーマはちょうどお聞きしたいと考えていた内容ですので、楽しみにしています。