5.13 制御室の人間工学的設計−制御室の配置

ISO/DIS 11064-3
Ergonomic design of control centres -Part3:Control room layout

規格内容概要:制御室の人間工学的設計に関する規格は先の原発事故が物語るように、近年多発する重大事故が制御室における人間工学的設計の必要性を喚起し、関係者が集まり、精力的に規格化の検討を進めている。他の人間工学の規格が単一の業務を中心にしているのに対し、当規格では総合的視点から取り組んでいる。イギリス担当の本パートは制御室の配置設計を具体的に進める上でのポイントを示している。特に制御卓の配置に関しては作業の安全性や効率性にも大きく関係するため作業の形態に適した配置の検討が必要となる。

審議経過概要:設計の考え方や手順を中心に議論が進められた関係で、長時間の審議にも係わらず結果がでていないとのことでISO本部の指令で審議続行か中止かで投票が行われ幸い理解が得られて18カ国中13カ国が審議続行に賛成し、業務は続いている。この第3部だけ1995年に無事CD投票をクリアーしDISの準備に入っている。DIS投票ではCENとの併行投票が行われた。そのための独仏翻訳作業に思いの外時間がかかった。1997年秋のDIS投票は賛成多数(13/18)で可決されたが、膨大なコメントが寄せられ、FDIS 投票に掛ける最終修正案は1998年3-4月に久しぶりに東京(青山学院大学青山キャンパス)で開催された会議でコメントの採否の討議が行われた。投票まで後半年は掛かりそうである。なお、この投票に日本は不本意にも棄権した。原因を調査した結果、国内に届いてから途中で郵便物が滞ってしまいJENC事務局へ到着しないうちに期限が来てしまったことが判明した。国際会議に出て初めてこの事実を知ったわけで通信の確実性の確保にはお互いに気を付けてウォッチしていかなければならない。

日本の対応:本規格原案はISO規格の様式に整合していなかったので規格の構成に関して日本の提案が採用された。更に直接、監視・制御対象を見る必要のある制御室の配置図面についても日本提案が生かされた。制御室内の制御卓配置について総合的見地から分類提案をしたがこれは部分的に採用された。

小林 記



ISO/TC159 国内対策委員会
Last modified: Jun 12 1998